漢方薬と新参

漢方薬の購入者の中で、一番使用法を誤りやすい人は、多少は勉強して得意な顔をした新参の方です。彼らは自分の知識は相当なものだと過信し、薬剤師に説明をお願いせずに購入してしまいます。漢方薬の処方にも専門家としての知見が必要です。まず患者の「証」を聞き出します。「証」は症状の個人差を構成する抵抗力や体力、体質等を指し、この「証」の分析次第で処方される薬は大きく変わります。西洋医学では「証」は考慮されず、病名が下されれば、同じ病気の患者は皆同一の薬を処方されます。ですから漢方薬を選ぶ時、自分の病名だけでは判断できないという、普段使用する西洋薬との違いを踏まえていなければなりません。この「証」の分析は少し齧ったくらいではこなせるものでもなく、専門家である薬剤師の協力が欠かせないのです。

 漢方薬は西洋薬のような、病気を攻撃するという発想に基づいていません。患者の身心を総合的に捉え、それを整えていくことを優先し、結果的に症状が現れなくなるというアプローチを採ります。ですから自分の体質を考慮せずに適当に選んでしまうと、効果は期待できませんし、逆に症状が悪化することさえあります。とにもかくにも症状を抑えることが眼目の西洋薬であれば、副作用の例を除き、症状悪化は考えにくいものです。

 例えば葛根湯は鼻かぜ、頭痛、筋肉痛等に効くことで知られています。ですから自分の風邪にも効くはずだと、安易に考えてしまいます。しかし実際には万人向けの薬ではありません。服薬する者は体力を有し、体格も立派な人に限られます。胃腸も弱っていてはいけません。もし高齢者や体力のない人、胃腸の優れない人が葛根湯を服用すれば、胃痛や下痢の症状が現れてしまいます。

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